library

パソコン上のファイルの分類するというのはよくある話だと思います。 綺麗に分類されていれば、いざ過去のファイルが必要になった時にも、簡単に取り出すことが出来るからです。まさに図書館のようなイメージを無意識に想像されるかと思います。ただ、結論これが生産性を阻害している大きな理由だったことをご存知でしょうか?

分類するな、検索せよ

ファイルの分類における基本的な問題の項目は下記のように挙げられます。

  • そもそも分類してもそのファイルを見返す可能性は限りなく低い
  • こうもり問題: このファイルはどちらのディレクトリに所属するのか考える必要あり
  • 分類作業自体に非常に負担がかかる

まとめると、「分類作業は作業負担の高さの割に、9割以上のものは見返さないので割に合わない」ということになります。 その中でコンピュータの登場と伴に出てきた考えが「検索すればいい」という発想になります。

図書館における実際の書物など物理的な制約がある場合はこれは出来ませんが、 コンピュータのファイルでは簡単に文字列を打つことで検索することが出来ます。 そのため、そもそもファイルの分類をする必要性が薄いのです。

GoogleやEvernoteはまさにその典型で、「とりあえず検索しよう」という流れになっています。 大昔のYahoo Japan!はディレクトリ型検索のポータルサイトでしたが、いまやディレクトリ型の検索サイトなど存在せず、全てサーチエンジン型です。

Wikipediaで「ダックスフンド」を調べたいと思った時に、動物>犬>ダックスフンドなどと階層を下る人は誰もいないはずです。 Googleを経由して適当に単語を打って、ダイレクトにそのページに飛びます。 ただ、自分のファイル管理になった途端に、なぜかディレクトリの頭から下るようになってしまうのは変な所です。

Googleなどがメジャーになる前の1993年に出版された野口 悠紀雄氏の「超」整理法―情報検索と発想の新システムという書物でもこの発想を解いています。 ぜひ詳しい背景の思想を理解したい方にはお勧めです。

どうやってディレクトリを運用するか (実践)

私個人の運用方法をご紹介します。シンプルに3つのルールがあります。

  1. ~/workというディレクトリを作成する (デスクトップにショートカット)
  2. とりあえず作ったファイルは全部そこに移す
  3. ファイル名だけ検索にも引っかかりやすいように少し冗長に付け直す

ある程度意味的なグループはひとつディレクトリを作成し、そこにまとめてしまいます。 ファイル名に関しては本文検索も出来るとはいえ、少し引っかかりやすくタイトルを付け直します。

「就労ビザ申請」という単語があれば、ビザという単語が「VISA」として検索する可能性もあるので、 就労ビザ申請(VISA)という少し冗長にはなりますがひっかかるようなタイトルにリネームします。

またファイルに「YYYYMMDD ファイル名」という日付のプレフィックスをつける戦略も利用します。 あとでその日のイベントが何か合った時のことを思い返す場合に、タイトルに日付があるとすぐに出せます。 このテクニックに関しては、最初は全てのファイルにそのような運用方法を私はしていましたが、 日付自体不要なファイルが大半ですので、たとえば「議事録作成日」「プロジェクトの重要な資料」 などの日付やバージョニングが意味を持つものだけに関してのみ付与し、あとはリネームせずそのまま放り込んでいます。 そもそもシステム自体にファイルの作成日と更新日というタイムスタンプ機能があるため、究極付与しなくても、 日付で調べたいときは可能です。

仕事のストレスも激減

噂には聞いていた「分類しない運用法」ですが、いざ分類ばかりしていた自分がチャレンジする時には大きな抵抗がありました。 しかし、いざやってみた感想として、「何ら問題ない。むしろ楽」という印象です。 逆に同じ所に全部放り込むので、「ファイルがなくなってしまうかもしれない」という恐怖感が一切なくなり、 「頑張って検索すれば絶対にファイルを取り出すことができる」という安心感はすごいです。

過去のプロジェクトのファイルでも、ネーミングさえ同じになるようにすれば、簡単に過去のファイルを取り出すことも出来ます。

ファイルの分類作業ということが背景に合ったせいで、無意識にExcelなどの新規ファイルを作ることを敬遠していた自分がいましたが、 いくらでも断片的なファイルを作って、仕事でつかって、終わったら放り込めるようになりました。

OSXのSpotlight機能のすごさ

この分類しないことを意識した瞬間に、Spotlightがいかに強力かということを再認識しました。 Spotlightはご存知、MacOSXにデフォルトで付属している検索ツールです。 OSXを使い始めた頃はたまに勝手にSpotlightが動き出し、「チッ。お前は呼んでない。」とよく舌打ちをしたものですが、 今や一番最強なツールだと感じています。

何がすごいかというのは、本文検索、Evernote検索、アプリ起動も何でも可能な上、スピードがメチャクチャ早いということです。 裏でインデックスを作ったり色々システムでも頑張っていると思いますが、さすがに驚愕してしまうレベルです。

iPhoneにもホーム画面から簡単にSpotlightにいけます。ヘビーユーザ視点からすると、「ここによくぞ配置してくれました」という心持ちでしょう。

最後に

検索法は非常にお勧めの手法です。仕事でのストレスも激減して「何故気づかなかったのか」と最初は感動しました。 なかなか切り替えるのは勇気はいりますが、一旦やってしまうと戻ることはなくなるはずです。 この考え方を理解すると、同時にEvernoteなどのツールの凄さももっと理解できると思います。 是非その他TIPSもあればお聞かせ下さい。