Bojan Bjelic

チクセントミハイのフローを読みました。存在としては前々から知っていたものの、 久しぶりに彼の動画を見た過程で、本でも買って読んでみるかという状態に。 その本が改めて沢山多くの気付きをもらたしてくれたので、自分の思考を整理するがてら、 記事として投稿。

フローについて前提知識

全く何の話だという方にまず、ビデオがあるので是非ご覧になると良いです。


「Mihaly Csikszentmihalyi - フローについて」

とても有名な映像で、19分ほどの長さがありますが、引き込まれる魅力があります。 基本的には書物の内容の抜粋したスピーチになっています。

チクセントミハイのフローとはなにか

結論「注意を1点に向けている状態」を伝えたいのだと感じた。 人間には潜在意識(無意識)と顕在意識の行動の2つがあり、これをトータルした範囲で「注意」をあれこれむけている。 これを自分がやりたい対象の1点に対して注げている状態の時がすなわち「フロー」状態であると言える

食後に集中できないのは、無意識活動で消化活動をしており、体の注意がそこに向いているからだし、 睡眠不足で集中できないもの、人間の基本欲求で強い力である睡眠欲がそこに注意を向けろと指令しているからにほかならない。

ある程度睡眠がなくて大丈夫な人はそもそもも生活維持としての睡眠量が少なくて大丈夫(科学的に)ということもあり、 注意を向ける必然性が少なく、 常にたくさん寝たい人であっても、より外部に刺激があるのであれば睡眠しなくても集中できることはいうまでもない。

会議で居眠りしてしまう理由

会議やつまらない話で眠くなってしまう人がいるが、これも単純に潜在意識だる睡眠欲求のパワーが大きく、 そこから注意を引っ張り込まれてしまうことで、結局眠くなっている。

そのため、それを防止するためにある程度脳みそで適切な難易度な事例を組み立て、 「会議の内容を脳内で英訳する」など自分の中である種チャレンジングなことを脳内で組み立て、 少し注意をそこに向けないと出来ないようなことをすれば自然と眠気の問題も解消できることがわかる。

難しすぎるのもダメ

次のステップが全くわからないようなことを集中しろということもなかなか難しい。 何を考えていいのか、右往左往し、結局対象物に対して結局注意を集中できないためである。 その注意が散漫になっている状態で、強力な睡眠欲や食欲が出てきてしまい、 居眠りやお菓子を食べたりと、取り込まれてしまう。

そういった状況もあるので、問題を分割して簡単なパートを組み立てるようにすると、 「難しすぎて注意が向けられない、無気力になる」という状態から抜け出すことができる。

0から100にするのは難しいが、自分がわかる範囲で小さい目標に対して集中していけば、 いずれ大きな山を崩せるようになるはずである。

フローの原則

ミハイによると、主にフローに入るためには(1)即時フィードバック、(2)コントロール感、(3)シャットアウト、(4)適切な難易度、(5)明確な目標が必要とされているが、これも合点がいく。

即時フィードバックが来ることにより、 目に見えるアウトプットに対して、半ば強制的に自分の注意が向けられる。 コントロール感はある意味即時フィードバックがある状態を言い換えているし、 シャットアウトはそのまま文字通りで、外的な注意を妨げる要因を防ぎ、 適切な難易度はある程度注意を向けないと出来ないということを脳に伝えるために必要である。 (簡単すぎるゲームでは、注意しなくても出来てしまうため、注意が出来ない)

こういった「注意を1点に注ぎやすくする仕組み」がまさにチクセントミハイが伝えていたフローに入る条件である。

「紙に毎日目標を書けば実現する」など自己啓発等での胡散臭い話もよく聞くが、 単純にこれも「手を動かすという外的要因を使って、頑張って注意を向けよう」という言い換えである。

ただし勿論、紙に書くのは注意を注ぎ込むきっかけとして与えているだけで、 紙に書くのが注力する先となっていは本末転倒である。 注意を注ぎ込み、難しすぎるのであれば、問題を分割して、自分の理解できる範囲で 再度集中させ前に進めていくということが必要不可欠である。

成熟と集中の関係

ある程度色々なことに習熟してくると、それを無意識にやることができるようになる。 無意識でできる範囲が増えると、結局注意しなければならない対象が減るため、 より高度なことに注意を注ぎ、問題解決をすることができる。

英会話の習得などの場合でも、ある種最初の段階ではやはり自分なりの問題を見つけてそこにフォーカスし、 徐々にそれが無意識に注意の力を注ぎ込まなくてもよいようにして、 徐々にその対象を拡大していくのがステップそうである。

脳の仕組みと納得感

脳が納得感を得られる状態でないと注意も向けられないとも伝えられるが、 それも単純で、「他によりより選択肢があるのではないか」「なぜこれでやるのか」というある種、 脳が自動的に注意を逸らしているからではないかと感じる。まさに注意力の奪いあいのような感じである。

そのため、チームでの会議でも大多数に納得感がないと、物事が進まないのはこのせいである。 プロジェクトを前に進めるべき力を、一部の反対派の人間が後ろに引っ張ろうとするからである。

ただ納得感というのは夫々の人が今まで経験したことから導きだされるもので、 簡単に全員の納得感を得るのは大変難しい。 「Aという経験とBとういう経験をしたから、私はCというアイディアを提案します」といった具合である。

ただ、カリスマ的な人がチームに居たとして、 「彼(スティーブ・ジョブズ)が言うことは、何でも完全に納得できる」 のような状態を作り出せるのであれば、ある種チームの人材の全ての力が1点にフォーカスされるので、 アイディアの良し悪しは別として、推進力は段違いになりそうな感じは容易に想像がつく。 (勿論その人のカリスマ性が失われた時に、目標の拠り所を失い、空中分解してしまうリスクもある。)

なぜ肉体労働が精神的に良いか

実際にスポーツや肉体労働では体を動かし、確実に作業自体に集中しなければならないため、 無意識に注意が散漫となっている心理的疲労状態から一時的に抜け出すことができるためと感じる。

スポーツなどを通じ、一回注意を一箇所にフォーカスさせ、 「杞憂」「将来の不安」などといった現状の自分でコントロールできない無意味な脳の疲れから開放してくれる。 そういった非生産的な考えを一旦押し出し、改めて脳に考える余力スペースが出来るので、メンタル的に回復するのである。

終わりに

この注意のコントロール能力自体が、その人の生産性に影響し、周りとの差別化要因になっているとも感じます。 自分の未来や過去など今コントロール出来ないことに注意を向けていては勿体ないわけで、 常に「今、自分を押し出してくれるようなこと」に精一杯注意を向けられるようにするのが、 キーワードかなと感じます。

ふと「悩むとは物事を解決させない前提でただ考える事である」という名言を思い出しましたが、 記事を書いたことと合わせて活力をもらえたような気がします。

なかなか面白いので、是非これをきっかけに興味を持った方は本も是非オススメです。